大根仁のインスタグラム(hitoshione) - 10月25日 13時28分


以下、いつぞやのblogより抜粋・一部加筆。

高3の時、群馬から上京したてのBUCK-TICKのライブに行ったことがあります。
新宿JAMスタジオ。
パンク雑誌「DOLL」の、新人バンド紹介みたいなものすごくちっちゃい記事と写真を見て、とにかくその写真のメンバー全員の髪の逆立ち方が尋常ではなく、過剰を求める高校生としてはその髪型だけでビックリし、当時先物買いに命を賭けていた友人・田口君と一緒に行きました。
4バンドくらい出演するカンジだったのですが
BUCK-TICKは2番目か3番目でした。
客はほとんどいなくてガラガラでした。
演奏は下手クソでしたが、ルックスはパンク+ビジュアル系+ニューウェイブみたいなカンジで(ヤガミトール・樋口豊兄弟はモヒカンだったような気がします)、ステージ前で田口君と二人でバカみたいにポゴダンスをしました。当時の言葉で言うと「ポゴる」というやつです。とはいえ、ポゴってるのは僕ら千葉の高校生二人だけでした。若さとは恐ろしいもので、ガラガラのライブハウスでもポゴれてしまうのです。
ライブが終わってカウンターで田口君とビールを飲んでいると背の低い男が声を掛けてきました。
ベースの樋口豊でした。「君たちのおかげで楽しく演れたよ。飲みに行こうぜ」と、
誘われました。
近所の居酒屋にでも行くのかと思ったらメンバー全員と京王線に乗り、ボーカルの櫻井さんの家に行きました。たしか桜上水だったと思います。古くて狭い2DKのマンションでした。
駅前の酒屋で買ったビールやら焼酎「純」やらを男7人で朝まで飲みました。あ、櫻井さんの同棲してる彼女もいたか。甲斐甲斐しくツマミを作ってくれたっけ。
何を話したかはまったく覚えていませんが、とにかくメンバー全員ものすごく良い兄ちゃんばかりでした。田口君が「どうやって髪を逆立ててるんですか?」と聞いたら「ダイエースプレーのスーパーハードだよ」と教えてくれました。寝る前にスプレーして寝て、寝癖を利用しつつ、さらにスプレーするんだと言ってました。
明け方になってみんなで雑魚寝して、目が覚めたら7時くらいでした。
田口君を起こして玄関を出る前にふと部屋を見ると、差し込む朝日の中、みんな髪を逆立てたまま寝てました。駅に向かう商店街を歩いていると、前から櫻井さんが彼女と腕を組んで歩いてきました。ちなみにその彼女は櫻井さんより年上でおそろしく美人でしたが、朝陽に照らされる櫻井さんも美しかったなあ。
「みんな寝ちゃったから散歩してたんだよ、あ、帰んの?」
「はい」
「じゃまた」
「またライブ行きます」
「うん」

ふと、田口君の手を見るとマジックで小さく「ダイエースプレースーパーハード」と書いてありました。

それから2回くらいJAMに行ったのですが
インディーズ(太陽レコード)デビューしたこともあってか
あっという間に女のコのファンでいっぱいになっていて
曲ごとに振り付けみたいな踊りも決まっていたりして、んーまあもういっかと思ってそれきり行きませんでした。

あれから35年、音楽業界寄りの仕事も沢山してきたし、どこかでニアミスくらいしてもおかしくなかったと思うが、一度も会うことがなかったBUCK-TICK。と、櫻井さん。昨日、訃報を知った時は思わず声が出てしまいました。もしお会いすることがあったら、何者でもないどころか、どこの誰かも知らないただの小僧を泊めてもらい、楽しい夜を過ごさせていただいたことを伝えたかった。謹んでR.I.P


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2023/10/25

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