武居詩織のインスタグラム(shioritakesue) - 7月5日 17時34分

小学校の濡れた昇降口を見ながら、自分が通っていなかった所でも懐かしさを感じることに気がついた。

学校にはどことなく湿り気がある気がする。
ゆるい蛇口から漏れる水滴や、明るくなりきらない照明、廊下の奥の暗がり。
異世界への入り口があってもおかしくないような、揺らぐ危うさを秘めた不思議な空間だと思っている。

私が通っていた小学校は平成には珍しい木造校舎で、耐震強度の問題で何年か前に取り壊されてしまった。
これは大好きな校舎にさよならを言いに行った時に携帯で撮った写真だ。

幼い頃からずっとこの校舎の夢をよく見ている。
ちょうど写真の階段の横の昇降口が10m四方の底の見えないプールのようになっていて、そこに下の方からずらっと、アクリルケースのような、透明のゼリーで出来た大きな棺のような物体が、水中で交差しながら積み上げられている。
そのケースの中の一つに浮かんで水中から天井を見上げている自分がいて、そして上からそれを覗いている自分もいる。
仄暗く少し怖く感じてもおかしくないけれど、なんとも言えない心地よさで、重力から解放されて浄化されているような気持ちにすらなる。

繰り返し見るその夢は今でもまだ終わっていない。
思い出の校舎もまた、夢が終わらない限りずっと存在し続けている気がする。

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