モルのインスタグラム(m_scape) - 8月13日 20時48分
???
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「したい?」
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少しお酒が残る火照った身体で抱き合っていた。
互いの体温が感じられるほどの薄着で密着したまま、女のほうから誘うように言われる。
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これが妹じゃなければすぐにでも流れに身を任せてコトに及びたいところだ。
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『お前なぁ、オレは兄貴だぞ?』
「知ってるよ」
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『兄妹なんだぞ』
「それもわかってる」
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『だったら...』
「ねぇモル...覚えてる?」
『なにを?』
「あたし達、ちっちゃい頃に結婚の約束したんだよ?」
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ボクらが小さい頃、父の生家はミカン農家をやってたこともあり、手伝いがてらよく裏山で遊んでいた。
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収穫は冬だが、初夏にはミカンの白い花が咲く。
学校が夏休みに入るとよく幼い妹をつれて裏山を探検してた。
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あるとき、山を歩き回ってると花がたくさん咲いた木を見つけたので、摘み取って花冠をつくって妹にプレゼントしたことがある。
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ありがと~(*´∀`*)
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はにかむように喜ぶ姿が可愛くて、不器用ながらその後も何回か作ってあげてたのを思い出す。
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西洋の花嫁は、ウェディングヴェールにミカンの白い花で冠を作って飾る習慣があるという。
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知ってか知らずか、そんなのを繰り返すうちに妹は「お兄ちゃんと結婚する~」と言うようになってた。
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「あたしがまだ4歳くらいだったかな、モルが学校行事で2日ほどいなくなるってわかって泣き出したことあったの」
『あぁ、あったな確か』
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「その時、泣いてるあたしに言ってくれたんだ」
『なんて?』
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「キャンプから帰ってきたらケッコンするからって。
今考えたら、あたしを泣き止ませようとして出た言葉だったってのは分かるんだけど、その時はすごい舞い上がって(お兄ちゃんと結婚できるんだぁ~)って悲しい気持ちがいっぺんに吹っ飛んだこと覚えてる」
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「それでね、帰ってきたときに『キャンプしてる時これ作ったからやる』ってシロツメクサでできた指輪もらったの」
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「そのときその指輪をはめながら、あたしが二十歳になったら一緒になろうって言ってくれたんだよ?覚えてる?」
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正直、まったく覚えていなかった。
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ボクの中ではなだめすかす為のいろいろな言動が、妹の中でこんなに美化されて将来の約束にまで発展してたとは。
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もちろん兄妹で結婚などできるはずもないのだけど、今さらそんな約束忘れたとも言えず、妹がずっと大事にしてきた気持ちを裏切りたくはない。
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世間には認められないかも知れないけど、たいせつな妹をそばで見守り続ける人生もいいかな
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そう思うとふっとココロが軽くなったような気がした。
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葛藤をのりこえ一大決心をしたボクは、妹のプロポーズに応えるように『覚えてるよ』と返したら
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「そんな約束してないよ?そうやって相手の機嫌を損なわないようにその場凌ぎで生きてるからモテないんだよモルは。このままだと一生独神だねwww」
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とからかうように切り返された。
男女の真理をまさか妹に教えられるとは。
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『んだよ、ったく。どうせモテねーよ!というか、それ言いたいがためにここまでするか普通( ー̀дー́ )』
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ちょっとだけ妹に恋してしまいそうになった恥ずかしさとかつがれた怒りからどなってしまうと、ふいにキスで口を塞がれる。
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思ってもなかった妹の行動に動揺し焦って唇を離すと、照れたような微笑みを向けられた。
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「ごめんごめん。まぁ、でも......
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あたし以外にはずっとモテなくていいよ♡」
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~fin~
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#妹に教えられた話
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2015/8/13