SHIORIさんのインスタグラム写真 - (SHIORIInstagram)「『おいしい仕事術』を書くにあたり昔の自分と向き合おうとするも、どうにも忘れっぽくてあんまり覚えていない。今を生きているからと誤魔化しながら、私は記憶力にはめっぽう自信がない‥。  それでも幼心に強烈に記憶に残っていることがひとつだけある。  ある夕方、言葉が話せず大きなうめき声をあげながら近所を徘徊するおじいさんがいた。  近所の人みんな気付いていたはずだけど誰も何もしなかった。おじいさんは全く知らない土地に迷い込んで長らく歩き続けて来たようだった。  父はそのおじいさんを家に招き入れた。 名前は言えるか?どこから来たのか?自分の言葉がわかるか?ひとつひとつ、ゆっくり、くりかえし丁寧に言葉をかけるもどこまで通じているかわからない。言葉でのコミュニケーションは困難なようだった。  すると父は『腹が減っているのかもしれないから、飯を握ってくれ』と母に言った。  母が握ったおむすびをおじいさんは無心に頬張っていた。  幼い私はうめき叫ぶおじいさんに恐怖心を抱きながらもその様子を物陰からそっと見ていた。  お腹を満たし、警察に保護されたおじいさんはその後も何度か歩いてうちに来た。その度に父も母も変わらぬ対応をしていた。  おじいさんにとってうちは安全で安心できる場所になったんだと思った。  あの時、両親は40代前半だったと思う。 どんな言葉で教えられるよりも説得力のある優しい背中だった。  #おいしい仕事術」3月30日 20時19分 - shiorikaregohan

SHIORIのインスタグラム(shiorikaregohan) - 3月30日 20時19分


『おいしい仕事術』を書くにあたり昔の自分と向き合おうとするも、どうにも忘れっぽくてあんまり覚えていない。今を生きているからと誤魔化しながら、私は記憶力にはめっぽう自信がない‥。

それでも幼心に強烈に記憶に残っていることがひとつだけある。

ある夕方、言葉が話せず大きなうめき声をあげながら近所を徘徊するおじいさんがいた。

近所の人みんな気付いていたはずだけど誰も何もしなかった。おじいさんは全く知らない土地に迷い込んで長らく歩き続けて来たようだった。

父はそのおじいさんを家に招き入れた。
名前は言えるか?どこから来たのか?自分の言葉がわかるか?ひとつひとつ、ゆっくり、くりかえし丁寧に言葉をかけるもどこまで通じているかわからない。言葉でのコミュニケーションは困難なようだった。

すると父は『腹が減っているのかもしれないから、飯を握ってくれ』と母に言った。

母が握ったおむすびをおじいさんは無心に頬張っていた。

幼い私はうめき叫ぶおじいさんに恐怖心を抱きながらもその様子を物陰からそっと見ていた。

お腹を満たし、警察に保護されたおじいさんはその後も何度か歩いてうちに来た。その度に父も母も変わらぬ対応をしていた。

おじいさんにとってうちは安全で安心できる場所になったんだと思った。

あの時、両親は40代前半だったと思う。
どんな言葉で教えられるよりも説得力のある優しい背中だった。

#おいしい仕事術


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2023/3/30

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